古型今戸人形 吉田義和

Yoshida Yoshikazu (Imado ningyo in original style)

大学では絵画(洋画)を専攻。
美術教師、博物館勤務などを経て、自分の「ふるさと」である東京、隅田川の沿岸で栄えた今戸焼、今戸人形に関心を持つようにな。江戸伝来の今戸人形が昭和19年に途絶えてしまったことを知り、製作の道に入る。その今戸人形を東京の土を原材料として再現させることを目標に、古い伝世品や遺跡からの出土品を参考にして作られています。粘土は隅田川沿岸の工事現場の土から自ら精製したものを使っています。
日本人形玩具学会会員
東京都北区伝統工芸保存会会員
平成28年度日本民藝館展日本民藝協会賞入賞

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両手招き狐

お納めさせていただいているお店のお客さんで、拙作の両手挙げて招いている狐が欲しいという方がいらっしゃるそうで、おそらく狐拳の狐をイメージされているのだと思います。狐拳は庄屋と猟師と狐で拳を打つ人形で組でこそ意味をなすものです。愛好家の方が狐拳の狐一体をまねき狐として楽しまれることには一向に構わないことなんですが、狐拳の狐だけ注文されるのは本来意味から逸脱することを作り手自らに要求されるようで自分自信が欺瞞に働いているような気になっています。

ただそのお客さんのご希望を叶え差し上げたいので将来的には狐拳とは別の独自両手招き狐を創作して差し上げたいとは思いますが今すぐというのも厳しい話。そこでかなり昔、三十年くらい前に狐拳として型起こししていた時期の現在よりも大ぶりな狐を暫定的に単体で彩色してみました。あくまで件のお客さんのご希望のためにです。

こういう小さなことが後になって今戸人形への社会的認識のズレに繋がったりはしないか。。と。例えば今は常滑系の形の亜流的な招き猫があたかも江戸時代以来の今戸の伝統みたいに思っている人のほうが多いような感じがしますが、これも前の時期ひとつのボタンのかけ違いからこうなってしまったといえます。狐の人形ひとつでもそういうことになりはしないか葛藤しています。
(吉田義和氏ブログ「東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形つれづれ」 https://blog.goo.ne.jp/imadoki3 より引用)

松の太夫

数年前に起こした江戸時代の太夫をお手本に作った太夫の形に尾張屋さん風の配色パターンで塗ってみました。裲襠に松が描かれているいわゆる「松の太夫」風な彩色に初挑戦。型が尾張屋さんのものより丸っこい感じなのと腰から下がやや詰まっているのですが、面描きは尾張屋さんのゆったりのんびりしたタッチをそのままでは難しいので筆を走らせるようなイメージで描いてみました。自画自賛になるかもしれませんが、ファーストトライとしては悪くはないように思いますがどうでしょうか。裲襠の配色は春吉翁作のものには別のパターンもあります。額の辺りのバランスも更に練習が必要だとは思っていますが。。ブギウギではないけれどズキズキワクワクしながらの彩色です。
(吉田義和氏ブログ「東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形つれづれ」 https://blog.goo.ne.jp/imadoki3 より引用)

展示画像(2024.8.28)

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